若き獅子たちによる伝統の舞に感動!「上本郷三匹獅子舞」

突然ですが、三匹獅子舞って聞いたことありますか?

私は数年前まで三匹獅子舞という言葉すら知りませんでした。

三匹獅子舞とは、一人立ちの三人一組で構成されている獅子舞で、関東地方を中心として、東日本に広く分布しているそうです。

獅子はお腹に太鼓をくくりつけ、横笛の伴奏に合わせて舞い踊ります。

今回、松戸市民なら一度は行っておこうという軽い気持ちで「上本郷三匹獅子舞」を観に行ってきたのですが、“舞う”というより、もはやスポーツ(!?)と思うほどの激しさに驚きと感動を覚えました。

上本郷三匹獅子舞(松戸市指定無形民俗文化財)って何?

松戸市指定無形民俗文化財である上本郷三匹獅子舞は、三人一組の舞子が合計六組います。

大獅子・女獅子・中獅子に扮し、風早神社・明治神社の順に、五穀豊穣・厄病退散を祈りながら舞を奉納します。

祭礼は毎年スポーツの日の前日で、奉納場所は風早神社と明治神社です。今年は10月13日(日)でした。

風早神社と明治神社の両方を見に行きました

私の母親と息子を連れて風早神社に到着したのは午後5時20分頃でした。

境内には、獅子を囲うようにして観客が集まっていました。
椅子等は無く、人と人の間の隙間を見つけて、少し背伸びをしながら見ることができました。

観やすい位置を確保するには早めにスタンバイした方がよさそうです。

神社の本殿の灯りを頼りに、獅子が力強く舞っていました。
獅子の背と同じ高さくらいの場所にあった二本のロウソクが薙ぎ倒されるくらい激しい舞でした!

私は20kg近い息子をずっと抱っこして獅子舞を見せていたので、腕が限界を迎えてしまい、全ての演目が終わる前にその場を後にしました。

どうしても最後まで見たかったので、今度は夫を連れて午後8時からの明治神社での舞を見に行きました。

明治神社は、風早神社のときよりも子連れファミリーが多かったです。

浴衣を着ている親子も見かけました。

静かな境内に、横笛の伴奏と太鼓の音が鳴り響きます。

三匹の獅子は参道を少しずつ進み、本殿の前でクライマックスを迎えます。

獅子は約一時間近く舞い続け、最後は跳ねの連続です。

「がんばれがんばれ!」
「負けるなよ!」
「跳ねろ!跳ねろ!」

獅子たちの体力が限界まで極まる最後の演目では、周囲から力強い檄が飛びました。

中には涙する大人の姿も。

フラフラになりながら舞い続け、見ているこちらがハラハラした気持ちになりました。

終わった後は大きな拍手に包まれ、獅子の世話人がすぐに獅子たちを抱きかかえ、身体を支えながら舞子のケアをしていました。

まるで、駅伝で走り終わった後のタオル掛けのシーンを見ているようでした。

250年近く続く伝統を引き継ぐ令和の若者

松戸市では三つの町(上本郷、和名ヶ谷、大橋)で三匹獅子舞が伝承されています。

中でも和名ヶ谷の獅子舞が最古と言われており、上本郷の獅子舞は和名ヶ谷から伝えられたそうです。

昨今、担い手の高齢化や後継者不足により、全国的に無形民俗文化財の指定解除が相次いでいますが、松戸市の三匹獅子舞も他人事ではありません。

少子化や生活様式の変化で舞子の成り手が減っている中、各地では奉納日数や回数を減らすなど、時代に合わせて形を変えながら、次世代へと引き継いでいます。

上本郷三匹獅子舞の舞子は、上本郷や北松戸にゆかりのある中学生から20代の方だそうです。

部活動や受験勉強と獅子舞の稽古を両立している方がほとんどで、9月末から10日間ほどの練習期間を経て本番を迎えます。

江戸時代の形をそのまま残すのは難しいですが、地元の伝統芸能は地域をつなぐきっかけにもなるそうなので、できるだけ地元の伝統として未来に残していけたらいいなと思いました!

上本郷三匹獅子舞
祭礼日:2024年10月13日(日)
場所:風早神社(17:00)、明治神社(20:00、22:00)
住所:
・風早神社 千葉県松戸市上本郷2599
・明治神社 千葉県松戸市上本郷2087
アクセス:
・風早神社 新京成線「上本郷駅」北口より徒歩約5分
・明治神社 JR「北松戸駅」東口より徒歩約8分

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。