千葉県の天然記念物「極相林(きょくそうりん)」に囲まれた「小山浅間神社」|松戸市

JR松戸駅より京成バスに乗り「小山」にて下車。10分ほど歩いたところで、一段と大きな看板が見えてきます。市街地のなか標高28mの山丘の山頂部に「小山浅間神社」はありました。

富士山に宿る山の神を信仰する「浅間神社」は安産や子育ての神として有名です。

「小山浅間神社」の社殿は千葉県の天然記念物「極相林」に囲まれた神聖な場所です。今回は千葉県松戸市に鎮座する正保4年、西暦1647年創建の「小山浅間神社」をご紹介していきましょう。

市街地に突如現れる富士山信仰の浅間神社

「小山浅間神社」の神域へ1歩足を踏み入れると、そこには池がありました。悠々と泳ぐ鯉を眺めているうちに、ここが市街地で住宅街の中心にあることを忘れてしまいそう。天気がよかったこの日は、亀が日向ぼっこをしている様子も見ることができました。

この神域だけが、時間がゆっくり流れているのを感じます。

社殿に続く石段の下に設置された手水舎でさっそく手や口を清め、先をすすんでいきましょう。

千葉県の天然記念物「極相林」に包まれる社殿

古くから信仰の山として保護されてきた「小山浅間神社」は、千葉県の天然記念物「極相林(きょくそうりん)」に囲まれていました。

「極相林」とは、日照や気温、湿度などの自然環境に適応できない樹木が淘汰された結果、森林の樹木構成がそれ以上変化することがないとされる森林のことです。生育に適した植物のみが定着し、長い時間をかけて作り上げられてきた自然の産物ともいえるでしょう。「小山浅間神社」の神域一帯には、クスノキ科の高木であるヤブニッケイが全域にひろがり、タブノキ、ツバキ、ムクノキなどの原生林が残っていました。

昭和41年から「小山浅間神社」の「極相林」は、千葉県の天然記念物として指定されているんだそう。

1合1合踊り場がある100段以上続く石段

「極相林」のなか100段以上ある階段を1歩1歩進みます。
社殿までの石段には、現在地がわかるように1合、2合と石標によって示されていました。ところどころに現れる踊り場で休憩しながら、自然のなかで深呼吸。ゆっくり登って行きましょう。

左側にのぞむ黒い布に包まれた太い木がご神木。その荘厳な姿に、なんだか神聖なパワーを感じました。

ふと足元に目を向ければ、地面に落ちた葉や花が木漏れ日に照らされ、幻想的に光っています。

登り切った先にのぞむ社殿

長い階段を昇り切ったところでやっと社殿が見えてきます。「極相林」に囲まれた空間のなかに佇む社殿からは、富士信仰の神々しさを感じました。

人影のない時間に伺えたのは貴重な経験。湿った空気が妙に清々しい昼下がり、ゆっくり鈴を鳴らし、富士山に思いをはせながら参拝することができました。

帰り道も慎重に長い階段を下ります。登って来た時には軽く息が上がっていましたが、下り道は余裕があります。石段の両側に茂る木々の風に揺れる音を聴きながら、呼吸を整え帰路を進みます。

「小山浅間神社」の季節の祭事

「小山浅間神社」では季節の祭事も、数多く執り行われているとのこと。
1月1日の元旦祭をはじめ、2月3日の節分祭、2月中には祈年祭、2月初午には初午祭とつづきます。そして、7月1日例大祭、7月中の弁財天宮祭や水神宮祭、11月は七五三祭や新穀感謝祭、12月31日の除夜祭と目白押しなんだそう。

特に、7月1日は富士信仰ならではでの祭事。富士山の山開きの日が祭礼日となっているようです。

富士山は古代から自然崇拝の対象となっていました。富士塚はその富士山を模した山を礼拝するという1つの信仰の形です。「小山浅間神社」の富士塚に登れば富士山に登ったのと同じ気持ちや効果やご利益が得られると言われているんだそう。

ぜひ、松戸の市街地で富士山のパワーを受け取って見てくださいね。

浅間神社
住所:千葉県松戸市小山664
アクセス:JR常磐線松戸駅より車で約6分、徒歩約29分、西口バス①のりば 市川駅ゆきに乗車、松戸ニ中バス停下車徒歩4分

※記載情報は取材当時のものです。変更している場合もありますので、ご利用前に公式サイト等でご確認ください。